インターナショナルスクールのお弁当事情

先日、アメリカ人の友人と話をしていた時のことです。
日本では、お弁当っていうのが結構お母さんの負担になっていてね。
といったら、それまで脇で話を聞いていた、友人のお嬢さんEちゃんが、
突然、「そうだと思う。あのお弁当はすごいと思う。」と言い出しました。
お嬢さんは14才。日本のインターナショナルスクールに通っています。
ところが、最近はインターナショナルスクールといっても、
生徒の多くは日本人なのだそうです。

学校にはカフェテリアもあるけれど、日本人の子はほとんど利用しない、とEちゃん。
「じゃぁ、どうしてるの?」
私が聞くと、
「みんな、お弁当を持ってくるのよ。それも、すごく凝ったお弁当。」
というのです。
Eちゃんの説明によると、お友だちが持ってくるお弁当は、似たような大きさの
お弁当箱に入っているとのこと。

「アメリカだと、お弁当にするっていったら、私はパン、じゃぁ、私は果物っていうふうにみんなが違うものを持ち寄って、交換するのがふつうじゃないかと思うんだけど、日本人はそういうことをしない。」と彼女はいいます。
つまり、一人ひとりが完結したお弁当を持ってくる、と。
ご飯は、丸く握ってあったり、上にふりかけがふってあったりしてカラフルで、その他に、おかずがいくつも詰まっている、というのが彼女の観察。
カラフルでキレイだけれど、みんなが持ってきているものは、どれも似ているような気がする、と言っていました。

「でもね、時々、誰かがちょっと違うものを持ってきたりするの。そうすると、次の日にはみんなが同じものを持ってくるんだよね。普段は、みんなすごく仲良しなのに、なんか、お弁当については、ちょっと周りよりいいものを持ってこようっていう競争をしているように見える。」
「きっと、おうちに帰ったら、お母さんに、今日は○○ちゃんのお弁当にこういうものが入っていたって、話をするんだと思うの。だから、次の日は、みんながほぼ同じものを持ってくるんだと思う。」
Eちゃんに、「っていうことは、お母さんとお友だちはおうちで、今日はみんながどんなお弁当だったよ、っていう話をしているのかしらね」というと、
「そうだと思う。お友だちにとって、
学校の生活の中でお弁当はとても大事なことのように見えるもの。」
ということでした。

「Eちゃんも、お弁当の話、お母さんとする?」
と私が水を向けると、今度はママが
「しないわよ。そんな手のこったお弁当をお友だちが持ってくるなんて、
この人、今初めて言ったのよ。初耳だわ!」
驚くママにニヤニヤ笑っているEちゃん。
「でも、本当にすごいんだよ、みんなのお弁当。」

「なんで、Eちゃんはその話をママに今までしなかったの?」
そう水を向けると、
「今、その話されて、あぁ、そうだ、みんなのお弁当、
すごいよね、って思い出したの。
私にとっては、お弁当とかお昼ご飯なんて、それほど大事じゃないから、
ふだん、わざわざママに報告するほどのことじゃないの。
他に大事なことはもっと一杯あるでしょう?」

確かに……母娘間の静かなお弁当戦争を、
冷静に見ている来日1年目のEちゃんの体験談でした。

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